相談外来

  • こどもの便秘

便秘とは、便が長い時間出ないか、出にくいことをいいます。

週に3回より少なかったり、 出すときに痛みや出血があったりすれば便秘と考えます。

 

便が腸にたまりすぎて、軟らかい便が少しずつ漏れ出たり、小さいコロコロ弁が日に何回も出ている場合も便秘の疑いが あります。便秘が続いて治療が必要な状態を「便秘症」といい、12ヶ月以上続いた場合には「慢性 便秘症」といいます。

 

こどもの便秘症のほとんどは原因がわからない体質的なもので、「機能性便秘症」と呼ばれ ます。10人に1人かそれ以上におこり、決して珍しいわけではありません。


 

成長と共に治 ると考えられがちですが、便秘症のお子さんは便をするときに、とても痛い思いをしたり、 苦しんだりしていることが多く、決してほうっておいてよいものではありません。

 

母乳から人工乳にかえた時、離乳食の開始や終了の頃、トイレットトレーニングの頃、幼稚園や 学校へ通いだした頃に始まりやすいと言われています。なかでも2-4歳のトイレットトレ ーニングの頃に慢性的な便秘であることがはっきりしてくる傾向がみられます。 便秘症をきちんと治療しないと、腸の中に長くとどまっている便は水分が吸収されて段々硬くなります。硬い便を出す時には肛門がひどく痛むので、排便をがまんしたり、肛門を 締めながら息んだりするようになります。しばらく我慢していると、便をしたくなくなりますから、便はますます長く腸内にとどまる事になり、硬く大きな塊になるという悪循環 になります。

 

便が常に直腸にある状態が続くと、直腸がひろがり、便の溜まりに慣れてし まって、便意(ウンチがしたくなる事)がおこりにくくなってしまいます。 便秘症の治療では、便を硬すぎないように保ち、いつも直腸を空にしておくことが大切で す。

 

正しい診断に基づき、適切な治療を早く始めた方が後の経過がよくなります。 便秘症は一旦よくなっても再発することがとても多い病気です。 便秘症は根気よく長期の治療継続が必要です。 

 

うちの子便秘かな?と思ったら相談してください。

 

  • おねしょと夜尿症の違い

おねしょは(夜眠っている間の尿もれ)夜間に作られる尿の量と、その尿をためる膀胱 の大きさとのバランスがとれていないために起こります。夜間に作られる尿量が多かった り、膀胱が小さすぎるとおねしょになります。

 

5歳未満の乳幼児期に夜寝ている間におもらしすることをおねしょと言い、これはあた りまえの事ですが、学童期を過ぎても週の半分以上、おねしょをする事を夜尿症と言って います。


夜尿症診療ガイドライン2016では、夜尿症とは、5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヶ月以上続くもの、と定義されています。夜尿症はアレルギー疾患に次いで2番目に多い小児の慢性疾患といわれています。5~9歳では約11%1012 歳では 413〜15歳では 3%に夜尿症があると考えられています。 

夜尿症のタイプについて

 

次の3タイプがあります。夜間の尿量が多い多尿型、夜間の尿量が少ないのに膀胱が小 さいために夜尿をしてしまう膀胱型、夜間の尿量も多く、膀胱も小さい混合型。混合型が 一番治りにくい傾向が高いです。 ・お子さんがどのタイプの夜尿症なのか、夜間尿量(おむつ尿量+起床時の尿量)、がまん 尿量(ぎりぎりまでがまんした排尿量)=膀胱容量を測定してみましょう。(いずれも 200-250ml が標準です) 

起こさない、あせらない、おこらない、成功したらほめてあげる事がお子さんへの接し方 の原則です。 

 

まずは生活改善から

始めましよう

 

  • 起立性調節障害

起立性調節障害(OD: Orthostatic Dysregulation)には、おもに以下のような症状がみられます。

 

朝に起きられない・立ちくらみ・全身倦怠感・食欲不振 ・立っていると気分が悪くなる ・失神発作・動悸・頭痛・夜になかなか寝つけない・イライラ感・集中力低下

 


自律神経機能不全の一つで、過去には思春期の一時的な生理的変化であり、身体的、社会的に予後はよいとされていましたが、近年の研究によって重症ODでは自律神経による循環調節(とくに上半身、脳への血流低下)が障害され、日常生活が著しく損なわれ、長期に及ぶ不登校状態やひきこもりを起こし、学校生活やその後の社会復帰に大きな支障とな ることが明らかになりました。急激な身体発育のために自律神経の働きがアンバランスになった状態と説明されています。

 

起立時に血圧がひどく低下して脳貧血、失神を起こす症例もあれば、血圧に異常を認めな い症例もあります。 また、心理的側面から見ると ODは、過剰適応な性格であり、他人に気遣いして心理的に ストレスをためやすい傾向があります。発症の早期から適切な治療と家庭生活や学校生活における環境調整を行い、適正な対応を行うことが不可欠です。軽症例を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%、不登校の約 3-4割にODを併存します。男性1に対して女性 1.5〜2 と女性に多く、好発年齢は 10-16 歳で、約半数に遺伝傾向を認めます。

 

自律神経には交感神経(器官の働きをうながす神経)と副交感神経(器官の働きを抑える 神経)とがあります。眠っている時には副交感神経が働き、起きている間には交感神経が働きます。交感神経と副交感神経の切り替えがずれると、朝なかなか起きられなくなり、深夜になるまで寝つけなくなるなど、一日の生活のリズムが乱れてきます。春から夏にかけて悪化し、寒い時期に改善する傾向があります。

 

人が起立すると血液は重力のために下半身に移動します。動脈、静脈いずれも血管腔が拡張するため、血圧が低下します。

下半身に血液が貯留するため心臓に還る血液量が減少します。そこで代償機構が作動して交感神経末端からノルアドレナリンが分泌され、血管収縮が起こり、血圧が維持されるのですが、ODでは、起立直後すぐに活発化するはずの交感神経が作動せず、また循環血液量も少な いことと相まって、血圧が低下したままになります。そこで、心臓は血圧を維持するために心拍数を増加させ、起立中に頻脈を起こします。

 

起立性調節障害を乗りきっていくために一番大切なことは、この状態について本人と家族やまわりの人が理解することです。

 

下記の問診票の 11 症状のうち3つ以上あてはまれば OD の可能性があります。

その場合、診察の前にまず起立試験をしていただくことがあります。